100年経っても資産価値が上がり続ける街

ロンドンの北西15キロに位置する“ハムステッド・ガーデンサバーブ”という住宅地を見てきた。100年以上前に開発された街並みは成熟して建物は重厚、木々の緑も豊かで、ハリーポッターの映画で使われた住宅があるように、これぞ英国といった雰囲気だった。
現地でガイドを務めてくれた小川さんは25年前にこの地に住宅を2千数百万で購入し、今ではその価値が7倍にまで上昇しているという。もちろん住宅は100年前に建てられたもので一部リフォームを行っているが基本的には当時のままである。

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ハムステッドガーデンサバーブ内の住宅 高級住宅地として知られる

小川さんが自宅を購入した1980年代はサッチャー政権期で、不景気と高い失業率、フォークランド紛争やIRAのテロなど暗く厳しい時代だった。
ちょうど行きの飛行機の中で映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』を見ていたので時代背景がイメージしやすかった。
当時の状況から比べればイギリス景気も随分と回復し、ロンドン市内も非常に活気に満ち溢れていたが、それにしても25年で7倍にも価値が上昇するというのは、景気回復だけが理由ではない。

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裏庭から撮影した小川邸。1棟で2戸のデュプレックス型 

ハムステッドガーデンサバーブの資産価値が上昇している要因に“トラスト”と呼ばれる管理組合のような組織の存在が大きい。トラストは通りから見える住宅のファサード(正面)やフロントヤードの庭木や芝生などを一切変えてはならないと厳格に規制している。築100年以上も経っているのでリフォームやメンテナンスは当然必要だが屋根にしても外壁にしても色や素材を変える事は認められないし、外に物置などを設置することももちろんNGだ。

小川さんのお宅では屋根裏と車庫を部屋にリフォームしていたが、屋根裏に明かりを入れるドーマーの設置にはトラストの承認を得るのが大変だったそうだ。また車庫を部屋に変更した際もファサードのガレージドアは変更不可とのことで、内側が居室になっていても外部に窓が認められずガレージドアのままだった。

これだけ厳しいルールを徹底し続けるというのは日本ではまず考えられない。新築時に景観条例や風致地区といった規制があったとしてもその後の改装やリフォームまでもチェックし規制しているという話は聞いたことがない。
もしトラストの許可を無視して勝手なリフォームをしたらどうなるか?元に戻すことを命令され、拒否したら裁判で訴えられるそうだ。
街並みを維持していくことが、街の資産価値を高め住人の資産上昇にもつながる、そのためには個人の資産であってもルールを厳格に運用し、守らない場合は強制力をもって対応する。

個人資産だから何をしても自由という発想でなく、住人同士がルールを共有することで街全体の景観を守り資産価値を高めるという成熟した発想。日本人が理解できるにはまだまだ時間がかかるが、目指す方向性であることは間違いない。

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増築し、ドーマー窓を設置した屋根裏部屋

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落ち着いたリビングには暖炉

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バス・トイレは2階に

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手前がガレージをリフォームして増築した部屋 大きな天窓も設置されていた

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近藤 昭(株)桧家ホールディングス 代表取締役社長 近藤 昭

1967年兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学卒業。 大学卒業後、大手生命保険会社や外資系保険会社勤務を経て、 2001年に(株)東日本ニューハウス(現・(株)ヒノキヤグループ)に入社。 専務取締役、副社長を経て、2009年に代表取締役社長就任。 2012年に『日経ヴェリタス』が行った「在任期間中に株価を最も 上げた社長のランキング」では、全上場会社中第5位にランクイン。 業界の常識にとらわれず、常に顧客目線で考えることがモットー。 「あらゆる人にエコで快適な住まいを」 提供するために日々奮闘中。

   

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