木造建築の可能性 〜オーストリア視察 その2

ウィーンから南西へ200キロほどにあるグラーツと言う街に行きました。グラーツは街の中心部全体が世界遺産になるほど古い建築物が多く残されている街で、また数多くの大学がある学園都市でもあります。

我々はグラーツ工科大学でCLT研究の第一人者シックフォッハー教授の講義を受け、研究室を案内してもらいました。
こちらは研究室のある大きな研究施設です。もちろんこの建物もCLT建築です。こういった建物もカッコよくデザインされていますね。外壁も木でした。






施設の内部です。様々な実験施設が所狭しと並んでいました。巨大なクレーンで大型の材料の強度を測定することも可能なため企業などからの実験依頼も数多く受けているそうです。





このような充実した施設での研究、実験から木造大型建築のテクノロジーが生み出されていることを実感することができました。

今回のツアーのコーディネート兼通訳をしてくれたチャルマース工科大学(スウェーデン)の後藤さんが「東大にもこんな施設があればよかったんですが・・・」と言っていましたが、東大出身の彼が言うくらいですから日本の大学にはここまでの充実した施設がないということなんでしょう。

木造建築が中心の日本でこそ、このような新しい木造技術の研究がなされなければならないと思います。木造建築の研究ではヨーロッパにかなり遅れを取っているように思いました。



これは構造材であるCLTパネルに断熱材や外壁材を張り合わせたサンプルです。こういった研究もされていました。

こちらはシックホッファー教授のオフィスです。


いや〜カッコいい!センスある空間です。

構造材を現しにしながらもモダンに仕上げてありました。

学生のデスクもこんな感じです。



大きな木と窓に囲まれたリラックスした空間の中で研究ができる、羨ましい環境です。
こんな空間で勉強できるのならもう一度学生に戻りたいなぁなんてこと考えてしまいました。

お昼は大学に用意してもらったサンドウィッチを食べながら、熱心な議論が続きました。


このバラエティ豊かなサンドウィッチ、半端なく美味しかったです!

パンの上にペーストを塗り、ハムやチーズに野菜、エビや魚など様々な食材が載せられていたのですが、こんなに美味しいサンドウィッチは人生初でした。炭水化物ダイエットも忘れ4つも頂いてしまいました。。。


オーストリアは人口850万人、面積は北海道とほぼ同じとそれほど大きな国ではありませんが、1人当たりGDPは38,500€EU内で5位と豊かな国です。
国土の約半分が森林で昔から林業が盛んでしたが、特にこのCLTでは世界一の生産量を誇り、ヨーロッパ各国へ輸出しています。

オーストリアでは160年前から木を伐ったら植えなければならないという法律があるそうです。
特に最近は地球温暖化やCO2削減といった問題における森林の役割にも注目が集まっています。

植物がCO2を吸収することは良く知られていますが、それが最も活発に行われるのは成長段階だそうです。森の木を伐採して活用し、そこにまた苗木を植える。植えた木が20年、30年をかけて大きくなっていく過程でCO2をたっぷりと吸収して、また伐採できる位の木へと成長する・・・これは地球が今のように存在する限り繰り返される、つまりサスティナブル(持続可能)です。環境先進国のヨーロッパではこういった理由からも木材の新たな利用方法の研究が進んでいるということなのでしょう。


日本も国土の2/3が森林という、言わずと知れた森林大国です。

ところが残念ながら日本の森林はオーストリアのように有効に利用されていません。林道の問題、人件費の問題、小規模な会社が多いといった問題などで価格競争力が弱く、国内の木造住宅の材料でさえ輸入品が圧倒的なのです。

日本の木造住宅は、軸組工法という日本独自の工法で職人の技術等の問題もあって海外にそのまま展開するというのはハードルが高いです。しかしCLT工法は元々欧州で開発されたもので、工法自体の考え方も合理的でシンプルですので世界各国に展開することが可能です。つまり日本でもCLTのような資材を国内向けにだけでなく、アジアを中心とした世界へ輸出することを想定すればマーケットが遥かに大きくなり、大規模な投資や生産が可能となるのではないでしょうか。


地球環境のためにも、自然災害や環境破壊に対して、何よりこの美しい日本の森を次世代に受け継いでいくためにも、森の活性化と森林資源の有効利用を考える上でこのオーストリアの取組みは非常に参考になるのではと感じました。




































 

この記事のトラックバックURL
トラックバック

ヒノキヤグループ 社長ブログ

オン・オフを問わず、考えていること、気付いたこと、感じたことなどを発信していきます。

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

Profile

近藤 昭(株)桧家ホールディングス 代表取締役社長 近藤 昭

1967年兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学卒業。 大学卒業後、大手生命保険会社や外資系保険会社勤務を経て、 2001年に東日本ニューハウス(現・桧家ホールディングス)に入社。 専務取締役、副社長を経て、2009年に代表取締役社長就任。 2012年に『日経ヴェリタス』が行った「在任期間中に株価を最も 上げた社長のランキング」では、全上場会社中第5位にランクイン。 業界の常識にとらわれず、常に顧客目線で考えることがモットー。 「あらゆる人にエコで快適な住まいを」 提供するために日々奮闘中。

   

Selected entries

Categories

過去記事

Recent trackback

著作本

著作本

Links

 

mobile

qrcode

Search

Others