デザインの大切さ

古い建築を大切に長く使う欧州と新しい方が価値があると考える日本



一体この違いは何なんだろうか。



当然答えはこれと言うほど単純な話ではない。構造や耐久性の違い、地震の有無、生活スタイルや嗜好の変化、気候風土など様々な理由が複雑に関わっている。



でも僕は一つの大きな理由として“美しいデザイン”にあると思う。



言うまでもなく欧州の建築はデザインが素晴らしい。

中世に建てられた遺産のような建築はもちろん、普通に街に建っている古い建築も新しい建築もどれもがきちんとデザインされている。

だから人々はその建築を愛し、大切に手入れをし、長く使っていく。

新しいことだけが良いことではないと彼らは知っている。



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建築だけではなく服でも鞄でも、靴や時計から家具、食器など身の回りのありとあらゆるものについて同じことが言える。

彼らは別に懐古主義でも何でもなくただ自然体で愛着があるから手入れをしてずっと使っているのだろう。

良いものだからこそ大切に長く使う・・

美しくデザインされたものは時代を超え世代を超えて愛され続け、そして伝統的なブランド価値となっていく。





小さな頃から日常的に“デザインされた”ものに囲まれて生活してきた彼ら。

一方“デザイン”と言うと、どこかカッコを付けたような、また高価で贅沢、特別なものをイメージしてしまう傾向がある日本人。

日本ではデザインは二の次、使い勝手や値段を重視するといった風潮も相変わらず根強い。

機能美と言う言葉があるように、本来デザインと使い勝手や品質は相容れるもののはずなのだが、日本人はついつい分けて考えてしまいがちである。







ドイツにはいわゆる“ママチャリ”がないのだと言う。お世辞にもカッコ良いとは言えないが、1万円程度でそれなりに走る自転車が手に入ることは日本人の感覚ではありがたいこと。ところがドイツではそういったセグメントの自転車自体がなく、安くても3万円程度するため皆大切にメンテしながら長く乗っているそうだ。

想像するに彼らはデザイン性などをあまり考慮されていない、ただ走れば良いというようなものはたとえ安くても必然性はないと考えているのかもしれない。



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子供の遊具もちゃんとデザインされている



そもそも日本語には“デザイン”にあたる身近な言葉がない。

建築的には“意匠”と言う言葉がそれにあたるが、一般用語ではない。そのくらい実はデザインに対する意識の差は欧米人と日本人とでは大きいのだと改めて感じる。





今回訪れたオーストリアとドイツ両国は古い建築とモダンな建築とがしっかりと共存しているところがなかなか面白かった。





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200年以上前と思われる古い建築の中庭をガラスで囲った建築。まさに新旧のフュージョン(融合)



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モダンなガラス張りの教会 構造はCLT(木造)





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古い建築の中に突如現れるひょうたんのオバケのような建築

このような近代的な建築もしっかりとメンテされ古い建物同様に長く使われていくのだろう。





毎年7月に行われる自転車の世界最高峰レース、ツール・ド・フランス。そのテレビ中継の魅力は自転車レースの過酷な激しさと対照的なフランスの美しい風景を併せて楽しめることだ。



特に感心するのは、都市部だけでなく郊外や地方の街並みも非常に維持管理が行き届いていて美しいこと。

古い建築物が立ち並ぶ都市には都市の良さが、長閑で牧歌的な雰囲気を楽しめる田園風景もこれはこれで魅力的に映る。



今回訪問したオーストリアではバスで国を横断するよう走ったので、田園風景を車窓から眺めている時間が長かったのだが、フランス同様非常に手入れされて美しいのが印象的だった。



日本で農村地域を走ると、古く朽ち果てた小屋が放置されていたり、伸び放題になった空き地や林、手入れされていない古い家屋や庭などが当たり前の風景として見られるが、それとはずいぶん対照的だ。



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ランチで立ち寄ったチロル地方のホテル。この辺りの民家の多くは、このホテルのように窓先に色とりどりの花を植えて通る人の目を楽しませていた。庭先や通り端も手入れがされていて、日本の田舎に有りがちな、ひなびた印象がなく、長閑で美しかった。





庭先の木々やプランターの花々、欧州の人々はそれらの手入れを楽しんでやっているように思えた。もし一軒だけが怠ってしまうと周りとの調和が取れず街全体の雰囲気も壊してしまうから、そうならないようコミュニティが機能しているのだろう。



イギリスやアメリカでは地区のルールとして芝刈りや木々の剪定を規律化していて、守らない場合は強制的に業者に依頼し代金を当該者に請求することもあるそうだ。かなり強権的だがそこまでしてでも街の景観の維持管理を徹底して、価値を守っている。



一般的に欧米人の方が日本人より個人主義が強いと言われるが、こういった住環境の維持管理については日本人の方が完全に個人主義だ。マンションなどの共用部の維持管理のように購入時から管理費を徴収されるシステムでない限り、戸建ての庭先の維持管理まで徹底している街は聞いたことがない。



維持管理が面倒だからと言った理由で、草木を排除し無機質なコンクリートで地面を固めてしまうことも日常的。自分の敷地だからどうしようと他人から言われる筋合いはないというのが日本人の感覚。



そういった街並みは魅力もなく、年々廃れて価値がなくなっていく。



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眼を見張るほど美しいウィーンのアーケード



ヨーロッパを訪れる度に感じるのは、彼らの暮らしの本質的なクオリティの高さだ。日本人は経済的にはリッチになったが、まだまだ表面的で薄っぺらい気がする。建物のデザインについても、街の景観についてもまだまだ学ぶべき点は多い。




















































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近藤 昭(株)桧家ホールディングス 代表取締役社長 近藤 昭

1967年兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学卒業。 大学卒業後、大手生命保険会社や外資系保険会社勤務を経て、 2001年に東日本ニューハウス(現・桧家ホールディングス)に入社。 専務取締役、副社長を経て、2009年に代表取締役社長就任。 2012年に『日経ヴェリタス』が行った「在任期間中に株価を最も 上げた社長のランキング」では、全上場会社中第5位にランクイン。 業界の常識にとらわれず、常に顧客目線で考えることがモットー。 「あらゆる人にエコで快適な住まいを」 提供するために日々奮闘中。

   

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