なぜ暖房便座は日本にしかないのか? 続き

欧米のトイレが寒くないのは、トイレだけを暖房しているわけではなくトイレを含めた家中全体を暖めているからです。

セントラルヒーティングと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。
温水をパイプで家中循環させて各部屋のラジエーターを通じて暖めると言う仕組みです。この仕組みのおかげで欧米の家はリビングもトイレも廊下も温度差がなく暖かい快適な環境が保たれているのです。

それではなぜ日本ではそういった仕組みが普及していないのでしょうか。

「家のつくりやうは夏をむねとすべし」
徒然草で吉田兼好が書いた有名なくだりです。

高温多湿の日本で木の家を長持ちさせるにはまず通気性が重視されてきました。
夏は深い軒や茅葺屋根で日射を防いで、障子などを取り払って風通しをよくする、冬は障子や襖で狭く間仕切り、そこに火鉢や囲炉裏で暖を取って温まるといった古人の知恵が生み出した生活スタイルです。

図1.jpg

戦後、生活が洋風化し家電が普及し始めても、この考え方に変化はありませんでした。
ただ火鉢や囲炉裏といった暖房手段がこたつやストーブ、ファンヒーターやエアコンといった暖房器具に変わっていったのです。

日本は言わずと知れた家電大国です。
世界的にも名の通った大手家電メーカーがこぞってこの日本独自の狭い空間を暖める機器の開発に勤しんで次から次へといろいろな暖房器具が作られていったのです。
温かく過ごすには、まず暖房器具、そしている場所が暖かければ良い。建物の性能を高めて家全体を暖めるというのではなくこの発想しか持てないのが我々日本人なのです。
暖房便座もそういったところから生まれたいかにも“日本らしい”商品と言う訳ですね。


一方家中丸ごと暖房が当たり前の欧米では、コストを削減するため建物の断熱気密性能を高めることに国中をあげて取り組んでいます。特に新築住宅には厳しい基準が義務付けられていて、それをクリアしなければ家を建てることができません。
ところが日本ではその基準が義務化すらされておらず、このような国は先進国の中では日本くらいだと言われています。
資源がなくエネルギー問題が深刻な日本なのに不思議ですよね。

画像 230.jpg
分厚い断熱材を外壁の外から貼り付ける断熱改修工事(ドイツ)


日本と欧米との家の違いをバケツに例えみましょう。

日本の家は隙間が多く穴がたくさん開いたバケツです。そこに注がれる水を暖房した空気と想定します。
蛇口から水を注いでも注いでも、穴から外に漏れてしまってはバケツに水が溜まりません。
どんなにエアコンで暖かい空気を送っても外に漏れてしまっては不快な上に光熱費が無駄ですよね。

欧米の家は穴の少ないバケツです。新しいバケツに穴は許されませんし、古いバケツも後から穴を埋めて改修しています。だから少ない水でもすぐに溜まります。
快適な環境をいかに省エネで実現するかを考えています。

日本では穴をなくすことよりも、蛇口を新しいものにすることやそれだけでなく、雨水を集めてバケツにそそぐ大規模な設備をつくることの方に関心が寄せられているような気がします。
つまり建物の隙間を塞ぐ(穴をふさぐ)ことよりも太陽光パネルや蓄電池などの設備機器を設置することが“エコ住宅”なんだという認識です。最新の設備機器を導入するのは良いのですが、建物自体の性能に無頓着ではもったいないことです。
建物の高性能化+省エネ機器の導入で初めて快適かつ省エネな暮らしを実現できるのですから。


この「ニッポンの家は寒い」という現状を改善し、人々の意識を変え、日本人でも欧米の人並みに快適で健康で豊かな暮らしを実現できる住環境を作っていくことが私たちの使命と考えています。

6年前に年間4千棟だった日本アクアの施工件数は昨年3万棟を超え、今年は3万5千棟に届く勢いです。
3万5千棟と言えば新築住宅17棟に1棟がアクアフォームで断熱されている計算になり、グループとしては日本で最も多くの省エネ住宅を提供していることになります。


「暖房便座なんてなくてもトイレ寒くないよ」
そんなことが当たり前になる日を夢見て、我々は頑張っていきます!



















 

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近藤 昭(株)桧家ホールディングス 代表取締役社長 近藤 昭

1967年兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学卒業。 大学卒業後、大手生命保険会社や外資系保険会社勤務を経て、 2001年に東日本ニューハウス(現・桧家ホールディングス)に入社。 専務取締役、副社長を経て、2009年に代表取締役社長就任。 2012年に『日経ヴェリタス』が行った「在任期間中に株価を最も 上げた社長のランキング」では、全上場会社中第5位にランクイン。 業界の常識にとらわれず、常に顧客目線で考えることがモットー。 「あらゆる人にエコで快適な住まいを」 提供するために日々奮闘中。

   

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