コミュニケーション力

面接をしていて「君の強みは?」と聞くと「私は誰とでも気軽に話ができてすぐに仲良くなれます。私の強みはコミュニケーション力です」と答える学生が多い。

これはこれで立派な長所だが、ビジネスマンとしては彼らの言う「ただ仲良くなる」だけでは不十分だ。

「コミュニケーション」というと「人と会って会話すること」をイメージするが、ビジネスの世界ではその意味はもっと幅広い。

会社の商品やサービスの特徴をいかに分かりやすく伝えるかということ、つまり営業活動はコミュニケーションそのものであるし、テレビCMなどのキャッチコピーもしかり、商品パンフレットやwebサイト、SNS、営業トークや住宅展示場の飾りつけやポスターまでありとあらゆるものがコミュニケーションで、企業活動そのものが「コミュニケーション」で成り立っていると言えるだろう。

また社内資料の伝達文書や規定集なども当然コミュニケーションツールだ。そこに書いてあることが正しく理解されずに業務に支障が出ていれば、部署間のコミュニケーションが上手くいっていないことになる。

つまりビジネス上必要な「コミュニケーション力」とは、ただ仲良く人と話ができればよいという次元ではなくて、こちらが伝えたい内容を伝えたい人にちゃんと伝えられるかどうかということ。もし伝わらなければ「相手が悪い」と言ってもそれは単なる言い訳になってしまうので「上手く伝える術」を身につけなければならない。それが「コミュニケーション力」だ。


では「コミュニケーション力」を鍛えるにはどうすれば良いのか。

それは「伝えようとする相手の心理を考える」ことに尽きるのではないか。
商品のPRなら相手はお客様の心を、社内なら対象部署の社員の心をよく読むという事だ。

まず伝えようと思っている事象に対してどの程度の知識や興味関心があるのかを考えるのが先決で、知識がない人にいきなり専門的な言葉を並べて本筋の話をしても興味も持ってもらえないし伝わらない。そのような場合はまず興味関心を喚起するような話題から入るのが鉄則だ。

一方的に自分の知識をひけらかす「授業が面白くない教師」のような営業マンがいるが、このタイプはまず売れない。

言ってることが正しくてもお客様は勉強するために展示場に来ているわけではないし、そもそも興味のない話を黙って聞くことほど退屈なことはない。

社内での非常に実務的に必要最低限の概要説明に終始するようなコミュニケーションもまずい。


持株会の説明会というのを例にとってみよう。

持株会と言われて初めて聞く人でその内容を知っている人はほとんどいない。なぜ会社の株を買うのか?得なのか?損することはないのか?株は値段が下がることもあるから投資したくない 株を買ったことがないからよくわからない・・・・だいたいこんな風に考えている社員が多いことは予測がつく。

そんな社員を前に事務的に持株会とはこういう制度で、期限がいつからいつまでで、補助はこうです。皆さん買いましょう!と10分位で説明されてもまず誰も買わない。

これは外部に対する営業ではないし、売れなくても誰からも何も言われないからという意識だと担当者は失格だ。

知識はあっても相手の気持ちが読めない=「コミュニケーション力がない」の一例だ。

企業活動は「コミュニケーション」そのものだと書いたが、日常生活にも「コミュニケーション」が溢れている。

人の話を聞いている時、人と会話している時、メールやSNSをしている時、テレビを見ている時、webサイトを見ている時・・・活動している時間のほとんどをコミュニケーションしている又はコミュニケーションされている。

誰かの話を聞きながら「つまらないなぁ・・」と居眠りしても一文の得にもならないが、なぜあの人の話はつまらないのだろう・・・もっとこういう言い方をすれば良いのに・・という観点で話を聞くと面白いし勉強になる。もちろん反面教師としてだが。

テレビもただぼーっと見るのではなく、情報番組のニュース解説など難しいニュースをアナウンサーどのようにわかりやすく、興味関心を引きながら飽きさせずに説明するのかという見方で見ているとこれはこれで参考になる。

解説の原稿、資料の使い方、話す順番・・ある意味テレビ番組制作は究極のプレゼンテーションだと思う。

CMを見る時も、ただ欲しい欲しくないという見方ではなく、なぜあのタレントを使うのだろう、コピーライターはあのキャッチコピーで何を伝えようとしたのだろうというような視点で見るとまた違ったものが見えてくる。駅や街の看板しかり、イベントしかり、送られてくるダイレクトメールしかりと身の回りのありとあらゆるものが「コミュニケーションツール」で誰かが何かを売らんとするために考えたものなのだ。

人の話を聞くのもコミュニケーションの勉強だ。話が上手い人というのは、その内容もさることながら、掴みや話しの順序、声の抑揚やスピードなどが整っているから聞き手の心に入っていくわけで、同じ内容でも下手な人が話すと全く面白くない。内容だけでなくそういった他の要素もよく研究すると参考になる。

僕も人前で話すときどういった順序で話すとより聞いている人に興味関心を持ってしっかりと聞いてもらえるかということを常に考えている。複数の営業会議で同じ話をすることがあるが、その時も微妙に話す順序や話し方、前降りなどを変えて話してみてどちらの方が伝わっているのかと試すこともある。

普段からそういった鍛錬をしていると知らず知らずのうちにコミュニケーションの感覚が研ぎ澄まされてくる。

例えば前例の持株会の件、僕ならまずこう切り出すだろう。

「皆さん、当社の社員の中には億万長者がいるんですよ!役員ではなく社員でですよ。どうして億万長者になった?それは当社の株を上場前からこつこつと持株会で買ってたからなんです・・・・・」

持株会に興味関心がなくても、社員の中に億万長者がいると聞けば、ん???うそでしょ?!と興味を持ってくれるだろう。そこから段々に説明していけば良いのだ。人前で話す時、聞き手がつまらなそうにしていたり、居眠りしていたり、下向いていたら話すこちらも楽しくない。顔を上げさせ、目を向かせ、頷かせるように話をしなければ話し手としては失格だと思った方が良い。

ビジネスマンとして交渉事を成立させたり、組織を引っ張っていくためには自分の考えを自分の言葉でしっかり述べて、相手を説得する能力が欠かせない。この「コミュニケーション力」がなければ人は付かないし、相手からも本当の意味で信頼されない。上司に対してただ「ハイ!」「おっしゃる通りですね!」と同調することだけが円滑なコミュニケーションで、それで上司からも気に入られると思っていれば大きな間違いである。

これはレベルの高い「コミュニケーション力」ということになるが、この力をつけるためにはまず自分の意見をしっかりと持つこと。どこから突っ込まれても受け答えできるだけのものがなければならない。そして最後は自分の信念や情熱で相手を口説き落すことができるか、それだけの意思、気持ちがあるかが決め手で「コミュニケーション力」+@の力が必要となってくる。

いずれにしても「コミュニケーション力」がビジネス上最も基本かつ最も重要なスキルであることは間違いない。身の回りに常に溢れている機会を生かして、無意識にスキルアップする習慣をつけることをオススメしたい。


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近藤 昭(株)桧家ホールディングス 代表取締役社長 近藤 昭

1967年兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学卒業。 大学卒業後、大手生命保険会社や外資系保険会社勤務を経て、 2001年に東日本ニューハウス(現・桧家ホールディングス)に入社。 専務取締役、副社長を経て、2009年に代表取締役社長就任。 2012年に『日経ヴェリタス』が行った「在任期間中に株価を最も 上げた社長のランキング」では、全上場会社中第5位にランクイン。 業界の常識にとらわれず、常に顧客目線で考えることがモットー。 「あらゆる人にエコで快適な住まいを」 提供するために日々奮闘中。

   

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