消費税増税

 消費税増税が大きな議論となってきた。国の財政破綻を防ぐために増税はさけられないという尤もらしい理由だが、国やメディアの言っていることをそのまま素直に受け入れられないところが悩ましい。また仮に10%に上げてもそのうちまた足りないから今度は20%に・・という話がでてきそうで、国民全体が疑心暗鬼になっているのではないか。

住宅に関する消費税は金額も大きく景気への影響も大きいことから一定の減免を検討しているとは、本日の安住大臣のコメントだったそうだ。
確かに住宅業界は消費税導入、税率アップの度に住宅の駆け込み需要、その後の大きな反動と大変な荒波に襲われてきた。経営的に考えればこういった波はできることなら避けたい。
不幸なのは業界だけではない。家を建てよう、買おうとするお客様にとっても同じことだ。ちょうど住宅購入を考えている人にとっては踏ん切りのきっかけになるかもしれないが、まだローン借入ができない人やそもそも独身の人にとっては駆け込みたくても駆け込めない。すでに家を持っている大人たちは良いが、将来マイホームを持ちたいと考える子どもたちにはかわいそうだ。

住宅とは消費物かというそもそも論も根強い。国は住宅を”量より質”という命題を掲げ、30年程度で建て替えられるような安普請のものではなく、世代を超えて受け継がれるものにしていかなければならないと言ってきたはずだ。それが”消費”なのか?言葉尻だけをとらえる気はないがどうもしっくり来ない。
当然税金が上がっても住宅をつくって売らなければならない住宅業者は生き残りのために税金分コストダウンを迫られる。良心的な業者ばかりであれば良いが、コストダウンが品質低下や手抜き工事などにつながらないようしっかりとウォッチする目も必要だし、消費者も価格だけに目を奪われず住宅会社を見る目がこれまで以上に必要とされるだろう。

土地には消費税はかからない。土地は消費できないから消費税がかからないのか、その理由はよくわからない。農地や山を造成し、インフラを整備し、擁壁をつくって宅地にするには相当な“付加価値”が付いている。消費税=付加価値税の一種という考えから言うと何か矛盾を感じる。
それに土地と建物を分けて考えるというのがいかにも日本的でおかしい。土地は家を建てて初めて利用できるものだし、売る時も土地と建物は一体だ。

今回の東日本大震災では、関東でも壁に亀裂が入ったり、瓦が落ちるといった被害が多く発生した。確かに日本の住宅数は世帯数を上回っている。しかし30年以上前の新耐震基準以前の住宅が相当数まだ残っている。もし関東に直下型の大地震が発生した場合多くの古い住宅は尋常な被害を受ける危険性がある。人の命を守る住宅の耐震化を税制が妨げることになれば、何のための税金だという議論にもなるだろう。


先進国では住宅に関する消費税を、他の商品よりも低減したり非課税としている国がほとんどだ。消費税率が高いスウェーデンやイギリスは非課税、フランス、ドイツ、イタリアなどは一般税率よりはるかに低い税率が適用されている。日本は既に住宅取得については、世界で最も税率の高い国の1つという事実もある。

住宅は高額だが贅沢品でも嗜好品でもない。人が生きていくための基盤であり生活全ての基礎となるものだ。住宅1つ1つが街を構成し、街が集まって国を形成している。豊かな家が集まれば豊かな街を作り、豊かな街が合わさって豊かな国を作る。家は税務上個人の資産であるけれど、国を象る(かたどる)細胞の役割を果たしていることも忘れてはならない。
地震大国で深刻なエネルギー問題も合わせて抱える日本、高額故に景気への影響を考慮すべきという一面的な見方だけでなく、多面的な観点から議論されることを期待して、今後の成り行きを大いに注目していきたい。





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近藤 昭(株)桧家ホールディングス 代表取締役社長 近藤 昭

1967年兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学卒業。 大学卒業後、大手生命保険会社や外資系保険会社勤務を経て、 2001年に(株)東日本ニューハウス(現・(株)ヒノキヤグループ)に入社。 専務取締役、副社長を経て、2009年に代表取締役社長就任。 2012年に『日経ヴェリタス』が行った「在任期間中に株価を最も 上げた社長のランキング」では、全上場会社中第5位にランクイン。 業界の常識にとらわれず、常に顧客目線で考えることがモットー。 「あらゆる人にエコで快適な住まいを」 提供するために日々奮闘中。

   

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